| 系統造成では、北京黒豚、バークシャー種、デュロック種の3品種を基礎豚として用いました。この3品種の能力を測定するとともに、雄雌正逆交配により6通りの交配組み合わせを作り、雑種第一代の集団を作成しました。この集団を対象に最良線形不偏予測法(BLUP法)を用いて総合育種価を算出し、原則的にこの値で選抜を行いました。選抜に用いられた形質は一日平均増体重、平均背脂肪厚、ロース断面積、筋肉内脂肪交雑率の4形質を用いました。筋肉内脂肪交雑率は、最後胸椎部位のロースの筋肉内脂肪含量を測定することにより算出しました。筋肉内脂肪交雑率を選抜形質に加えた理由は、筋肉内の交雑脂肪は豚肉の多汁性や柔らかさを高めるために有効であると報告されているからです。本系統造成試験はこの形質を選抜形質に加えたことと、味の良いといわれる3品種の豚を用いたことで豚肉の味の良さを追求した系統造成試験となりました。
選抜の具体的方法は、以下のようです。子豚の体重が20Kg前後に到達した時点でハロセンテストを行い、ふけ肉を作る要素のある豚を除去すると供に、乳頭7対以上の豚を選抜しました。原則的に発育の良い子豚から一腹当たり雄2頭、雌3頭を選抜しそのうち雄1頭を去勢し、雌1頭とあわせ、肉質検査用の調査豚としました。残った豚から、次世代繁殖集団のための個体をBLUP値にもとづき選抜しました。
BLUP値の計算については、農林水産省畜産試験場育種部計量遺伝育種研究室 佐藤正寛氏開発のコンピュータプログラムMBLUPを用いました。この計算に用いられた遺伝パラメータは本育種が我が国で前例のないことから、基礎豚及び雑種第一代のデータに基づいて算出しました。これにより得られたMBLUPの計算結果によれば総合育種価は世代を追うごとに順調に増加し遺伝的な改良が行われたことを示しました。
育種結果の問題点としては、計算された遺伝パラメータ(LSMLMWにより計算)で、筋肉内脂肪交雑率と平均背脂肪厚の遺伝相関が高く(0.539)筋肉内脂肪交雑率を高めようとすると、背脂肪が厚くなる傾向を示したことです。そのため、今後筋肉内脂肪交雑率を対象とする育種を開始する場合は、基礎豚の形質値の吟味がより重要となると思われます。
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