本文
東京と軍鶏のつながりは長い歴史を持っています。 江戸時代初期に日本に渡来した軍鶏は、主に闘鶏用として改良されてきましたが、その肉の美味しさは江戸の名物料理「シャモ鍋」としても有名で当時の 風俗誌 (幕末の風俗誌「守貞漫稿」(1853年)に「鴨以下鳥を食するは常の事也。然れども 文化以来京阪ではかしわという鳥を葱鍋 に烹て食する事専ら也。江戸はしゃもと いう鳥を同製にして之を売る。」とあります。) にも登場しています。「東京しゃも」の開発はこの伝統あるシャモ肉の味を再現するため、昭和46年にまず軍鶏特有の闘争性の除去や育成率の向上を図る改良から始まりました。 その後改良した軍鶏と様々な鶏種との交配を試行し、昭和59年に現在の交配様式を完成させました。
令和元年5月8日に、「東京しゃも」は、地理的表示(GI)保護制度に基づく登録を受けました。これは、かねてより東京しゃも生産組合が登録申請を行っていたもので、この度、農林水産省の審査を経て登録されたものです。登録された生産地や品質等の基準を満たした産品は、地理的表示(GI)を使用できますが、東京しゃも生産組合以外の生産者は、表示が制限されることとなります。
詳しくは農林水産省ホームページ<外部リンク>へ
東京しゃもの肉は堅く引き締まっています。 また脂肪分が少なくさっぱりとした味わいで、日本の伝統的な料理に向いています。
一般の鶏肉であるブロイラーに比べて、長期間(20週)飼育するので、味わいが濃く、特に鍋料理の素材にするとよくだしが出、見た目も上品な油の浮き具合です。 正月のおせち料理や雑煮などにも最適です。
種別 項目 |
胸肉 | もも肉 | |||
---|---|---|---|---|---|
東京しゃも (20週令) |
ブロイラー (8週令) |
東京しゃも (20週令) |
ブロイラー (8週令) |
||
水分 (%) |
70.0% | 70.6% | 75.4% | 75.0% | |
粗蛋白質 (%) |
26.6% | 25.3% | 24.2% | 22.6% | |
粗脂肪 (%) |
0.6% | 1.1% | 1.6% | 2.9% | |
クッキングロス(%) | 12.6% | 18.5% | - | - | |
硬さ | 生肉 (kg/cm2) |
3.5kg/cm2 | 2.8kg/cm2 | - | - |
加熱肉 (kg/cm2) |
3.6kg/cm2 | 2.3kg/cm2 | - | - | |
色差 | 明度 | 41.1 | 39.3 | 36.5 | 40.4 |
赤色度 | 2.6 | 2.2 | 5.4 | 3.1 | |
黄色度 | 6.2 | 6.4 | 2.7 | 6.3 |
下図のように「東京しゃも」は改良した純系軍鶏とロードアイランドレッド種を交配した二元交雑種に、さらに軍鶏を交配するという三元交雑の交配様式をとっています。 この交配様式によって軍鶏独特の歯ごたえや食味が維持され、加えて生産性を高めることにも成功しています。
当センターで生産した東京しゃものヒナは、ふ化の翌日に「東京しゃも生産組合」に加入している都内の生産者に販売されます。 その後約120日~150日の飼養期間を経て出荷され、指定卸問屋から小売店、飲食店を経て、消費者に鶏肉が提供されています。
東京しゃも生産組合について<外部リンク>