本文
全身を柔らかい羽毛で覆われ、肉や骨が黒いという特徴を持つ烏骨鶏は、江戸時代の初期にその薬効を記した薬学書ととも中国から渡来しました。 中国や韓国では古来より肉や卵が薬膳料理の素材として珍重されており、漢方の効能も謳われている鶏です。 産卵率が低く、一般には年間50~80個程度(約22.3%)しか卵を産みませんが、「東京うこっけい」は産卵率の向上を目的に選抜を行って、年間190個程度(55%)まで産むように改良し、同時に飼料効率を高めることにも成功しました。 これにより農家の収益性も向上することから都市の小規模養鶏を支える最適な素材鶏として注目されています。
下の表は、仮に烏骨鶏の卵を1個100円で販売するとした時の収入の比較です。 100羽当たりで下記のような経営収支の違いが出てきます。 一般の烏骨鶏の飼料要求率(1kg当たりの産卵量をあげるのに何Kgの飼料が必要か)は7月1日ですが、東京うこっけいの飼料要求率は3月2日であるため、収益が大幅に増加します。
収益比較 | 東京うこっけい | 原種烏骨鶏 | 一般採卵鶏(参考) |
---|---|---|---|
卵一個当たりの販売価格 | 100円 | 100円 | 22円 |
収益 | 163万円 | 61万円 | 22万円 |
産卵率 | 55% | 22.33% | 90% |
品種改良により産卵能力を高めた「東京うこっけい」は都内農家に広く普及しており、烏骨鶏卵は今では東京ブランド畜産物の一つになっています。 比較的規模の大きい養鶏農家が中心となって平成20年に設立された「東京うこっけい生産組合」では、産卵の終了した鶏を肥育することで、「東京うこっけい」を肉用としても利用できるように活動しています。
烏骨鶏は、一般の採卵鶏に比べて体重が小さく成鶏でも1kg前後しかありません。卵自体も小さく、ニワトリが平均60gに対して平均40gほどです。
当センターで生産した「東京うこっけい」のヒナは、一般の養鶏農家等に販売しています。 農家で生産された卵は主に農協などの直売店で販売されており、価格は平均すると1個130円前後です。 また、カステラやプリン等のお菓子の材料としても利用されています。 肉の流通は始まったばかりですが、加工業者を通してハムなどに利用されています。