ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

果樹編(1)の概要

印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 ページID:0043281 更新日:2022年3月24日

果樹編(1)の概要  

果樹編(1)

東京府立農事試験場<外部リンク>設立当初の明治33(1900)年から数十年間は、果樹の地域への適応性確認や農業者への品種紹介を目的に、南多摩郡や北多摩郡で委託試験として生産者の畑で栽培されました。試験場では大正8(1919)年頃から果樹の栽植が始まり、その後15年程度経過した昭和9(1934)年から収量と品質の調査や整枝剪定、仕立て方などの試験が始まりました。試験されていた当時の果樹は、ナシ、モモ、ブドウ、スモモ、カキ、クリ、ウメ、イチジクでした。

その当時の東京府における果樹生産事情は、「大正8(1919)年から昭和2(1927)年までの年生産額は約100万円で、ナシ、クリ、カキ、ウメ、モモ、ブドウ、イチジクの順番で、荏原、北多摩、南多摩、西多摩の4郡で栽培され、ナシの生産地は多摩川沿岸で盛んで、荏原や北多摩郡の多摩川沿岸に集中していたモモ生産は水害や病虫害によって衰退した」と東京府の産業(農業)には記述されています。

図1 委託試験書類  図2 作業日誌今回ご紹介する細密画は、試験場の果樹試験で扱われたナシ、モモ、スモモ、ウメ、オウトウ(さくらんぼ)の一部です。細密画全体では、二ホンナシが「眞鍮(しんちゅう)、長十郎(ちょうじゅうろう)、博多青(はかたあお)、 廿世紀(にじゅっせいき)、早生赤(わせあか)、今村秋(いまむらあき)、明月(めいげつ)」など、洋ナシは「ホワイトドワイアンヌ」などナシ全体で計50品種54点、モモの品種は「傳十郎(でんじゅうろう)、天津(てんしん)、離核(りかく)、アムスデンジュン」など39品種40点もあり、当時の東京府における果樹試験の重要性を、豊富な品種から感じられます。その他、スモモの品種は「ソルダム、サンタローザ」など、ウメの品種は「白加賀(しろかが)、太平(たいへい)」などが試験に使われました。一方、原木管理を委託していた母樹園ではオウトウも栽培され、品種は「黄玉(きだま)、若紫、日の出(ひので)、ナポレオン」などでした(図1)。また、当時の作業日誌(図2)には、ナシ、モモなどを収穫後に販売したことなどの記録も残されています。

これら資料から多数の果樹が地域適応性や農業者の反応をみる目的で栽培され、品種の形状などの特性を細密画にして記録したと思われます。これら品種の中には、現在も栽培されているものもあれば、幻の品種となっているものもあります。

引用・参考資料

・東京府.東京府の産業(農業)其の一園藝.昭和4年.p106-111,114-116.

・東京府立農事試験場.委託試験書類.明治四十一年三月.

・東京府立農事試験場.日誌.明治四十三年五月起,明治四十四年四月迄,花卉果樹係.

Adobe Reader<外部リンク>

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe社が提供するAdobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。(無料)