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果樹編(2)の概要

印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 ページID:0043285 更新日:2022年3月24日

  果樹編(2)の概要

果樹編(2)

本編で取上げるカキ、クリ、ブドウとイチジクは、果樹編(1)でご紹介した果樹と同じように昭和9(1934)年頃より収量と開花期や収穫期などの特性調査についての試験が始まりました。また、カキでは害虫「カキノヘタムシ」を防除する試験、葉面積や摘果数と果実生育との関係についての試験が行われました。クリでは品種改良試験が行われ、豊多摩郡で生まれたクリ品種「豊多摩早生(とよたまわせ)」を改良した「改良豊多摩早生」は、粒を大型化、双子果の発生を少なくした品種で、上物規格が多く早生であることを特徴としました。

今回ご紹介するカキの細密画は、果樹の中では最も多く44品種65点が残されています。古くから全国的に栽培されていたカキの品種は相当数ありますが、それらの中には異名同品種や同名異品種が含まれ、異名同品種が多くあったことが品種数を多くした一要因とされています。試験場で扱ったカキの品種は、「冨有(ふゆう)」、「次郎(じろう)」、「座御所(ざごしょ)」、「花御所(はなごしょ)」、「衣紋(えもん)」、「西條(さいじょう)」、「堂上蜂屋(どうじょうはちや)」、「会津身不知(あいずみしらず)」、「江戸一(えどいち)」などで、これらの中には同名異品種と思われる品種があります。「江戸一」はその一つで、カキ細密画一覧に3点あげましたが、それぞれの形状が少し異なっているようです。果実形状が異なる現象は、穂木からの栄養繁殖ではなく種子からの実生繁殖であったことも要因であると考えられます。カキは遺伝的に純系ではないので、実生繁殖による後代には親とは異なる果実形状の子孫が生まれることもあります。試験で扱われたクリの品種は「豊多摩早生」、「銀寄(ぎんよせ)」、「長光寺(ちょうこうじ)」など、ブドウは「デラウエアー」、「キャンベルス・アーリー」、「レディー・ワシントン」など、イチジクは「ブラウン・ターキー」、「桝井(ますい)ドーフィン」、「ホワイト・ゼノア」などでした。

引用・参考資料

  • 東京府立農事試験場.昭和9年度業務功程.
  • 東京府立農事試験場.昭和10年度業務功程.
  • 東京府立農事試験場.昭和11年度業務功程.
  • 東京府立農事試験場.昭和13年度業務功程.

専属絵師の存在

3人の専属絵師が存在したことを農総研だより特別号に書きました。3人のうちの一人の絵師を確認できる落款が果樹編でご紹介した細密画の中にあります。図1に示す落款が151点の細密画に残されています。そのうちの半数以上が果樹に残されています。今回ご紹介したのは一部ですので、是非ご覧ください。また、果樹編(1)でご紹介した細密画にも掲載しています。あわせてご覧ください。

図1 左:カキ「花御所」、中央:クリ「甲州中栗」、右:細密画右下隅にある落款の拡大印

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