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野菜編(1)の概要

印刷ページ表示 大きな文字で印刷ページ表示 ページID:0043287 更新日:2022年3月24日

野菜編(1)の概要

野菜編(1)

 ダイコン、ニンジンなどの根菜類、ハクサイ、アスパラガスなどの茎葉菜類、トマト、ナスなどの果菜類に関する試験研究は明治35(1902)年より始まりました。

 東京府における野菜生産事情は、作付面積は大正13(1924)年から15(1926)年の3カ年平均で2万1千余ha、生産額は2千2百万円で、その生産額は東京府の野菜需要額の半分程度でした。また、野菜の中でもダイコンの作付面積はサツマイモに次ぐ第2位ということで、当時のダイコン需要の高さが伺えます。

 今回ご紹介する細密画は、野菜の試験で使われた根菜類のうちダイコンとカブ、ニンジン、ゴボウの一部です。ダイコンの細密画は20品種17点が残され、ニンジンは7品種7点、カブは10品種9点、ゴボウは2品種2点が残されています。

 試験は、肥料効果をみるなどの栽培管理と収量の品種比較に関することのほかに品種改良に関するものもありました。ダイコンの主流品種は沢庵漬け用の「練馬大根(ねりまだいこん)」の尻細種で、その他に煮食用の「方領大根(ほうりょうだいこん)」と「聖護院大根(しょうごいんだいこん)」などが品種比較されました。需要の高い「練馬大根」は、品質の安定化が求められ尻細種の「練馬尻細大根(ねりましりほそだいこん)」の固定化が進められ昭和6(1931)年には原種配布に至りました。南葛飾郡を中心に栽培されていた「亀戸大根(かめいどだいこん)」は藁で被覆保温する冬越しの秋播き春収穫の栽培試験が行われました。カブの試験は明治期には「天王寺蕪(てんのうじかぶ)」、「聖護院蕪(しょうごいんかぶ)」の品種比較、大正から昭和期まで「近江蕪(おうみかぶ)」、「今市蕪(いまいちかぶ)」、「緋蕪(ひかぶ)」、「金町小蕪(かなまちこかぶ)」など20品種以上のカブが農業者向けに展示栽培されました。ニンジンは肥料に関する試験が中心で、品種数は少なく「瀧ノ川人参(たきのがわにんじん)」の外に「三寸人参(さんすんにんじん)」、「東京鮮紅人参(とうきょうせんこうにんじん)」、「五寸人参(ごすんにんじん)」の展示栽培が行われました。ゴボウの品種数は、ニンジンと同じように少なく、「瀧ノ川牛蒡(たきのがわごぼう)」と「中の宮牛蒡(なかのみやごぼう)」のほか2品種です。明治大正中期頃までは「瀧ノ川牛蒡」について肥料試験が行われ、その後、他の3品種の展示栽培が行われました。

左図:亀戸大根、中央図:瀧ノ川人参、右図:金町小蕪

引用・参考資料

・東京府.東京府の産業(農業)其の一園芸.昭和4年.p1-12.

・東京府立農事試験場.農事試験場成績略報:第一から第十六まで.

・東京府立農事試験場.業務功程:大正元から9年度まで,大正13から15年度まで,昭和9から19年度ま

 で.

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