所長挨拶

　東京の農林業は、都民の健全で豊かな食生活に欠かせない役割を果たすとともに、農地は都市の貴重な緑地空間として、また森林は水源の涵養や土地の保全、さらには都民の憩いの場として、公益的な役割等を果たしており、都民に幅広く貢献しています。

　東京都は、平成 29 年 5 月に策定した東京農業振興プランに基づいて、さまざまな施策を展開してきました。しかしながら、世界情勢等の変化により農業を取り巻く環境は厳しさを増しており、将来を見据えた実効的な支援が必要となっていることから、5年ぶりに新たな「東京農業振興プラン」が策定されました。この「東京農業振興プラン」では、都民生活に貢献する持続可能な東京農業の新たな展開に向け、意欲ある農業者等の経営力の強化を図る東京型スマート農業等による高収益型農業の確立に向けたシステム構築や、消費ニーズや地域特性を踏まえた高い競争力を有する東京オリジナル新品種・栽培技術等による高品質ブランド確立等に取り組むとともに、SDGsに貢献する生産管理技術の開発を行い、それらを速やかに普及させていくことが求められています。

　東京都農林総合研究センターは、東京都における農林業の技術開発を担う公的試験研究機関として、生産性の向上や新商品の開発や地域の実情に即した新たな技術開発、及び都民の生活環境の確保のための技術開発を重点的に推進しています。また、普及及び行政部局、民間企業や研究開発法人、大学等とも密接に連携し、開発技術の速やかな移転、都市立地を活かした新たな産業振興を先導する技術シーズ開発等にも積極的に取り組んでいます。

　更に、これらの技術開発や技術支援の一方で、東京農業の将来を担う優れた農業後継者を養成する農業技術研修や、農林業への理解を深めていただくための食農教育等にも取り組んできているところです。

　当研究センターは、産業振興を通じて、地域の活性化と都民生活の向上への貢献を目指し、これからも東京の農林業を支える技術開発を進めて参ります。皆様のご指導とご支援をよろしくお願いいたします。

東京都農林総合研究センター　
所長　濱松　潮香